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論文

粘土を含む水が花崗岩質岩盤の透水特性に及ぼす影響

奈良 禎太*; 柏谷 公希*; 桶谷 和生*; 藤井 宏和*; Zhao, Y.*; 加藤 昌治*; 青柳 和平; 尾崎 裕介; 松井 裕哉; 河野 勝宣*

材料, 73(3), p.220 - 225, 2024/03

岩盤中においては、その中に含まれる亀裂が地下水流動や物質移動の主な移行経路となる。このような亀裂に粘土鉱物のような微細な粒子が充填すると、岩盤の透水係数が低下することが室内試験により確認されている。本研究では原位置においても同様の現象が発生するかを確認するため、瑞浪用地の深度300mにおいて岩盤中に粘土を含む水を注入し、岩盤の透水性の変化を測定した。原位置試験では粘土を含む水の注入により、2オーダーの透水性の低下が確認され、原位置においても粘土鉱物のような粒子の亀裂の充填により透水性が低下することが確認された。

論文

機械学習ポテンシャルを用いたBCC鉄へき開の大規模原子シミュレーション

鈴土 知明; 海老原 健一; 都留 智仁; 森 英喜*

材料, 73(2), p.129 - 135, 2024/02

FeやWのようなBCC遷移金属は{100}面に沿ってへき開する。このメカニズムを明らかにするために、人工ニューラルネットワーク(ANN)技術によって作成された原子間ポテンシャルを用いて0KにおけるBCC鉄の曲線き裂先端の原子論的シミュレーションを行った。その結果、{110}クラック面に沿ったき裂先端では転位が放出されへき開が抑制されることを発見し、{100}面に沿ってのみへき開が観察される理由を説明できることがわかった。さらに、有限温度での{100}へき開シミュレーションでは、塑性変形を伴いより現実的な破壊が再現された。

論文

高温ガス炉向けRPV冷却システムの開発

高松 邦吉

革新的冷却技術; メカニズムから素子・材料・システム開発まで, p.179 - 183, 2024/01

高温ガス炉は優れた安全性を有しており、原子炉冷却材が喪失するような事故時においても、炉心における崩壊熱や残留熱を原子炉圧力容器(RPV)外表面から放熱でき、燃料温度は制限値を超えることなく静定する。一方、RPVから放出された熱を最終ヒートシンクまで輸送する冷却システムに関しては、ポンプ等による水の強制循環を用いた能動的システムや、大気の自然循環を用いた受動的システムが提案されている。しがしながら、冷却性能が動的機器の動作や気象条件の影響を受けるという課題があった。本稿では、これらの課題解決を目的に提案されている放射冷却を用いた新たな冷却システム概念の概要や、当該概念の成立性確認を目的とした解析と実験の結果を紹介する。

論文

極低濃度HF水溶液を用いた陽極酸化により作製したSi基板上酸化膜の原子結合状態

新井 太貴*; 吉越 章隆; 本橋 光也*

材料の科学と工学, 60(5), p.153 - 158, 2023/10

現在、Si酸化膜は絶縁材料として電子デバイスや生体材料に広く利用されている。この膜の原子結合状態は、各デバイスの特性に影響を与えるため、特に膜のSiとOの化学結合状態の理解と制御が必要となる。本研究では、極低濃度のHF水溶液を用いた陽極酸化によってSi基板表面に形成されるSi酸化膜をX線光電子分光によって分析した。Si2pおよびF1sスペクトルを中心に調べた。HF濃度がppmオーダであるにもかかわらず、膜表面にパーセントオーダのFを含んでいることがわかった。膜中にSi-FやSi-O-F結合が形成されたことを示唆する結果である。また、FとOの深さ分布が異なることから、FとOで表面反応プロセスが異なることが推論された。

論文

高速炉機器設計の非弾性解析におけるクリープ緩和初期応力設定法の検討

能井 宏弥*; 渡邊 壮太*; 久保 幸士*; 岡島 智史; 安藤 勝訓

日本機械学会M&M2023材料力学カンファレンス講演論文集(インターネット), p.CL0712_1 - CL0712_5, 2023/09

本研究では、非弾性解析(弾塑性クリープ解析)によりクリープ損傷値を求める際に課題となる高温保持前の負荷に対して、保守的なクリープ損傷値の評価を可能とするために、既存の弾性解析に基づく保守的な評価手順の考え方と整合した緩和初期応力(解析における熱荷重条件)の設定方法を具体化した。また、具体化した手順を用いた非弾性解析により算出したクリープ損傷値は、保守性を持ちつつ現行の弾性解析に基づく評価結果よりも合理化された値となることを確認した。

論文

放射光X線と中性子を相補的に用いた小口径突合せ溶接配管の実応力解析

鈴木 賢治*; 三浦 靖史*; 城 鮎美*; 豊川 秀訓*; 佐治 超爾*; 菖蒲 敬久; 諸岡 聡

材料, 72(4), p.316 - 323, 2023/04

Residual stresses in small-bore butt-welded pipe of austenitic stainless steel have never been measured. It is difficult to obtain a detailed residual stress map of the root welded part, because the gauge volume in neutron diffraction is large. The stress evaluation of the welded part by synchrotron X-rays was also difficult due to the dendritic structure. In this study, a double exposure method (DEM) with high-energy synchrotron X-rays was applied to measuring the details of the residual stress of the welded part, and we succeeded in obtaining the detailed axial and radius stress maps of the root welded part of the plate cut from the welded pipe, though the stress map was under the plane stress condition. The hoop stress map of the butt-welded pipe was obtained using the strain scanning method with neutrons under the triaxial stress state. The axial and radius stress maps under triaxial stress state were made up using the complementary use of the synchrotron X-ray and neutron. As a result, the detailed stress maps of the root welded part of the butt-welded pipe were obtained. The obtained map sufficiently explained the initiation and propagation of SCC.

論文

化学的緻密化法でコーティングされた材料の沸騰硫酸環境下での耐食性評価および表面皮膜分析

広田 憲亮; 舟本 幸大*; 橘 幸男

材料, 72(3), p.255 - 261, 2023/03

沸騰硫酸環境下で優れた耐食性を有する金属材料を開発すべく、コーティングした材料の耐食性の評価と各種表面形態の違いを調査した。その結果、化学緻密化法により8回コーティング・焼結した(S-ZAC)SUS304は、12時間の腐食試験後の時点では問題なかったが、100時間の腐食試験後には腐食速度が急激に増加した。試料の断面微細構造解析では、Cr$$_{2}$$O$$_{3}$$が完全に消失した一方で、少量のSiO$$_{2}$$のみが表面に残存していた。S-ZACの剥離メカニズムは、加熱による熱膨張で厚膜が湾曲しCr$$_{2}$$O$$_{3}$$とSiO$$_{2}$$の界面にクラックが発生したためと推測される。一方、コーティングと焼成を11回繰り返すことでCr$$_{2}$$O$$_{3}$$を高密度にコーティングしたSUS304(MS-ZAC)は、100h腐食試験後でもSiCと同様に優れた耐食性を示した。断面組織分析の結果、MS-ZACはS-ZACに比べ、Cr$$_{2}$$O$$_{3}$$濃度が高く、SiO$$_{2}$$粒径が細かく、気孔が少ないことがわかった。特に、MS-ZACの皮膜維持のメカニズムは、皮膜全体の薄膜化に加え、Cr$$_{2}$$O$$_{3}$$粒子層での積層構造の形成と推測される。

論文

二重露光法による溶接部の応力測定の研究

鈴木 賢治*; 倉 己萌*; 三浦 靖史*; 城 鮎美*; 豊川 秀訓*; 佐治 超爾*; 梶原 堅太郎*; 菖蒲 敬久

材料, 71(12), p.1005 - 1012, 2022/12

放射光X線を用いてオーステナイト系ステンレス鋼の溶接部応力測定を実施した。溶接部のX線応力測定の課題は、回折スポットが半径方向および円周方向に広がることである。当該課題を解決するために溶接部からなる角棒の曲げひずみを70keVの放射光単色X線と二重露光法を用いて測定した。2次元検出器からの回折パターンは、テクスチャーマテリアルからのパターンのような鋭い弧を示した。当該結果より回折プロファイルを円周方向の回折強度を積分から取得し、回折角度は二重露光法を使用して決定した。その結果、溶接部の残留応力分布を測定することに成功した。

論文

高温ガス炉の実用化に向けた研究開発; カーボンニュートラルへの貢献

篠原 正憲; 角田 淳弥; 稲葉 良知; 柴田 大受

第59回X線材料強度に関する討論会講演論文集, p.22 - 28, 2022/11

地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出量を削減する「脱炭素化」が世界的に取り組まれる中、日本は2050年カーボンニュートラルの達成と再生可能エネルギーの主力電源化を目標として掲げている。高温ガス炉は950$$^{circ}$$Cの高温の熱を供給可能な原子炉であり、水素製造、高効率発電、化学・石油プラントへの高温蒸気供給、低温排熱を利用した海水淡水化、地域暖房など、多様かつ高効率の熱利用が期待されている。発電分野のみならず、運輸、製鉄等の原子力エネルギーを未利用の分野で高温ガス炉システムを利用することにより、温室効果ガスの排出量削減が期待できる。本稿では、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献しうる原子力システムとして、高温ガス炉の実用化に向けた日本原子力研究開発機構の取組みを紹介する。

論文

電子構造解析に基づく転位運動のモデリングとナノスケールの力学問題への応用

都留 智仁

材料, 71(8), p.660 - 665, 2022/08

材料の力学機能の本質を理解する上で、ナノスケールにおける個々の欠陥の動的挙動は重要な役割を果たす。本研究では、合金がもつ力学機能の起源を、電子構造に起因した転位芯の特性から捉えることを目的としている。古典的な力学問題や従来の弾性論に基づく強化理論を越えて、元素によって異なる電子の結合状態を考慮した力学特性の評価を実現するため、電子状態計算による欠陥構造解析とそれを用いた力学特性評価のためのモデリングに注力した。本稿では、力学特性に及ぼす合金元素の影響に関して、特に特異な温度依存性を示す体心立方格子構造(BCC)を有する合金について、キンク機構の本質に基づいて転位運動を記述するモデリングを提案する。また、転位運動に及ぼす合金元素の役割を電子構造から理解し、力学特性を予測する取り組みについて紹介する。

論文

水素ぜい化の評価・解析法; 3.水素昇温脱離曲線の数値シミュレーションに基づく解釈

海老原 健一

材料, 71(5), p.481 - 487, 2022/05

日本材料学会誌「材料」における「水素ぜい化の評価・解析法」講座の一部として、水素の昇温脱離分析(TDA)法に関して解説している。TDAでは、水素を含む金属材料の一定割合の加熱によって脱離する水素を測定し、得られる材料温度に対する水素放出割合の関係である昇温脱離曲線から、材料中の水素の存在状態を推定する方法であり、水素ぜい化研究において欠くことのできない測定手法である。内容は、TDAによる水素存在状態の推定に関する実験の概要、及び昇温脱離曲線の数値シミュレーションによる解釈についてである。数値シミュレーションに関しては、TDAにおける水素脱離の原子レベルでの機構、及び数値モデルを詳細に説明し、さらに、純鉄及びアルミニウムの昇温脱離曲線の解釈に関する最近の報告を紹介している。本稿によってTDAの原理や最近の動向について広く理解が進むと思われる。

論文

薄い液膜下における鋼の腐食に及ぼす腐食抑制剤の影響

門馬 悠一郎*; 坂入 正敏*; 上野 文義; 大谷 恭平

材料と環境, 71(5), p.133 - 137, 2022/05

薄い液膜下における鋼の腐食に及ぼす腐食抑制剤の影響を調査した。試料上に1.0-0.2mmの厚さの液膜を形成し、モリブデン酸ナトリウムと乳酸アルミニウム混合液を腐食抑制剤として添加し電気化学測定を実施した結果、腐食抑制剤はアノード反応を抑制すること、および液膜中では完全浸漬に比べて腐食抑制剤による保護層の形態が液量に応じて変化することが示唆された。

論文

高温水クレビス模擬環境におけるFe-Cr-Ni合金の電気化学的性質

相馬 康孝; 加藤 千明

材料と環境2022講演集(CD-ROM), p.219 - 220, 2022/05

沸騰水型軽水炉においてはステンレス鋼すき間内部に外界の不純物イオンが濃縮し、酸性化することから、そのような環境(クレビス環境)におけるステンレス鋼の電気化学的性質を知ることは重要である。本研究は、クレビス模擬環境をバルクスケールで再現し、Fe-Cr-Ni合金の電気化学的性質に及ぼすCr濃度の影響を主体に調査した。クレビス環境を模擬した、温度288$$^{circ}$$C、Cl濃度2$$times$$10$$^{-4}$$ mol/dm$$^{-3}$$、pH約4.5、溶存水素濃度10ppbの水中で、Fe-20Ni-xCr (x=16.4, 23, 26)の分極曲線を計測した。その結果、-400mVにおける活性溶解のピーク電流、および-50mVにおける不働態保持電流密度はCr濃度x=16.4, 23、および26%の試験片でそれぞれおおよそ13.8, 15.9, 10.0 $$mu$$Acm$$^{-2}$$、および18.4, 8.5, 8.5 $$mu$$Acm$$^{-2}$$であった。いずれもx=26の電流値が若干低いが、本環境では分極曲線に及ぼす明確なCr濃度依存性は見られないと判断された。

論文

高エネルギー放射光単色X線による二重露光応力測定

鈴木 賢治*; 山田 みなみ*; 城 鮎美*; 菖蒲 敬久; 豊川 秀訓*; 佐治 超爾*

材料, 71(4), p.347 - 353, 2022/04

30keVのシンクロトロン放射光X線による二重露光法(DEM)を用いたアルミ合金の残留応力に関してはすでに成功している。しかしながら、高エネルギー放射光X線の領域でDEMは未だ試されていない。本研究では、約70keVのシンクロトロンX線で焼きばめ材の応力を測定した。検出器としては、CdTeピクセル検出器とDDC検出器を用いた。SUS304の焼きばめ試験片の粒径は、43$$mu$$mのやや粗大な粒であり、回折環は斑点状であった。やや粗大粒であったが、DEMによって焼きばめ試験片の応力を測定することができた。その結果、DEMは粗大粒の応力測定に優れていることがわかる。また、検出器間距離を大きくすることが精度をよくする効果がある。他方、検出位置を増やしても精度改善効果はなかった。

論文

放射光単色X線を用いたアルミニウム単結晶の再結晶その場観察

城 鮎美*; 菖蒲 敬久; 岡田 達也*

材料, 71(4), p.354 - 360, 2022/04

金属材料加工技術の1つである再結晶メカニズムを明らかにするため、アルミニウム単結晶を用いた高温その場再結晶変態測定を高エネルギー放射光X線下で実施した。2次元検出器を使用し、8%変形したアルミニウム結晶を昇温,保持,徐冷中の試料にX線を照射し、変態していく過程でのX線回折を測定したところ、保持中に母材とは異なる位置に新たな回折ピークが観測、それが時間とともに増大していく様子、合わせて、母材からの回折ピークが減少していく様子が観測された。解析の結果、出現した再結晶からの回折は材料内部から発生したものであり、それが徐々に広がっていくことを明らかにした。また再結晶後の試験片のX線トプグラフィーを測定した結果、完全結晶とはいかないまでも結晶方位が0.001度のオーダーで変化していることを明らかにした。

論文

$$^{90}$$Sr標準溶液の滴下がSUS 316Lの腐食電位に及ぼす影響の検討

青山 高士; 加藤 千明; 佐藤 智徳; 佐野 成人; 山下 直輝; 上野 文義

材料と環境, 71(4), p.110 - 115, 2022/04

溶存$$^{90}$$Srが炭素鋼およびSUS 316Lステンレス鋼の腐食電位に及ぼす影響を調査した。人工海水中で腐食電位を測定しながら、$$^{90}$$Sr溶存溶液を人工海水に滴下した。溶液の滴下は2回に分けて行い、滴下した溶液の放射能がそれぞれ0.15MBqおよび1.5MBqとなるように調整した。その結果、$$^{90}$$Sr溶存溶液の滴下によって、炭素鋼の電位はほとんど変化しないがSUS316Lステンレス鋼の電位は上昇することが分かった。

論文

膜厚制御された液膜下における炭素鋼の電気化学挙動

門馬 悠一郎*; 坂入 正敏*; 上野 文義; 大谷 恭平

材料と環境, 71(4), p.121 - 125, 2022/04

3Dプリンタを用いて作製した装置で炭素鋼の大気腐食に及ぼす液膜厚さの影響を調査した。新たに作製した装置により、液膜厚さを正確に保持することが可能となった。異なる厚さの液膜で酸素の拡散限界電流密度($$j_{rm lim}$$)とアノード電流密度($$j_{rm anode}$$)を測定した。液膜が薄くなると、$$j_{rm lim}$$は増加し$$j_{rm anode}$$は減少した。$$j_{rm lim}$$と拡散距離の関係から酸素の拡散係数を3.20$$times$$10$$^{-5}$$ cm$$^{2}$$ s$$^{-1}$$と算出した。この結果を用いて、溶存酸素の拡散に影響を与え始める臨界厚さは0.87mmと求められた。

論文

ネプツニウム-237を含む硝酸水溶液中でのステンレス鋼の分極特性と腐食速度の評価

入澤 恵理子; 加藤 千明; 山下 直輝; 佐野 成人

材料と環境, 71(3), p.70 - 74, 2022/03

使用済核燃料再処理溶液施設でのステンレス鋼の腐食評価として、放射性核種である$$^{237}$$Npを含む硝酸水溶液中でのステンレス鋼R-SUS304ULC鋼の浸漬腐食試験と分極測定を行った。328K以上の温度では硝酸水溶液中よりも高い腐食電位を示し、過不動態域近傍となることがわかった。また、浸漬腐食試験により腐食量と分極抵抗との比較から換算係数として$$k$$=0.018V$$sim$$0.025Vの値を取得し、電気化学測定からの腐食量算出が可能であるかを検討した。

論文

気液交番環境の炭素鋼の腐食速度に及ぼす酸素濃度の影響

大谷 恭平; 上野 文義; 加藤 千明

材料と環境, 71(2), p.40 - 45, 2022/02

本研究では、福島第一原子力発電所のPCV内部において確認されている気液交番環境における炭素鋼の腐食速度に及ぼす気中酸素濃度の影響を低酸素濃度の範囲で調査した。調査結果より、腐食速度は気中酸素濃度が増大するに伴って増加するが腐食速度の勾配は徐々に減少すること、最大侵食深さは気中酸素濃度が1%の場合を除いて気中酸素濃度が増加するに伴って増大するが気中酸素濃度が1%の最大侵食深さは5%の場合よりも大きいことを見出した。

論文

気液界面模擬環境における炭素鋼の腐食メカニズム

大谷 恭平; 加藤 千明

材料と環境, 70(12), p.480 - 486, 2021/12

気液交番環境で液膜に覆われる炭素鋼の表面に形成した鉄さび層の断面観察および分析より、気液交番環境で炭素鋼には外側から赤さび層($$gamma$$-FeOOH),クラスト層(Fe$$_{3}$$O$$_{4}$$),内部結晶(Fe$$_{3}$$O$$_{4}$$),内部鉄さび層から成る多層の鉄さび層が形成することを見出した。この多層構造の鉄さび層および液膜に起因して酸素還元反応は常時水中に浸漬された場合よりも加速された状態を維持していたため、炭素鋼の腐食速度は増大したと考えられる。気液交番環境における炭素鋼の腐食速度に及ぼす海水成分の影響の調査より、純水から200倍希釈人工海水までの薄い濃度領域では濃度の増大に伴って腐食速度は加速し、20倍希釈から無希釈人工海水までの濃い濃度領域では濃度の増大に伴って腐食速度は減少することを見出した。人工海水に含まれるMgやCaイオンが反応界面に析出して表面を覆うことで酸素還元反応が抑制されたため、濃度の高い人工海水中で炭素鋼の腐食が抑制されたと考えられる。

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